オランダ日記 2008年6月
6月&7月
7月31日 マテアが入院した。
ずっと〈ツーワードおじさん〉と呼んでいた、昨年末に亡くなったおじいさんの奥さん。
脚の骨にはめられたネジが体内ではずれているらしくて、最近はずっと松葉杖で痛そうに歩いていたので、その手術に。
松葉杖をつきながら、エステティシャンの仕事も自宅でつづけているし、なんでも自分でやろうとするカッコいいおばあさん。
気むずかしいツーワードおじさんが亡くなってからぐっと仲良しになった。
ネコの世話を頼んでもらったので、うれしくてたまらない。
昔、うちで飼ってたネコにそっくりだし。
息子も家を自由に使わせてもらうのを楽しみにしている。
(ネコの世話を頼まれたのも息子。いままでもいろいろと世話してきたから。)
14年前に引� ��越してきたときにもう○○年も住んでるって聞いて驚いたくらいだから、さすがにうちよりずっと古めかしい。
ヘビースモーカーだったツーワードおじさんのタバコのヤニで壁と天井が黄ばんでいる。
弟にも言われたし、うちの家って気にしてるほどボロくはないのかも、と思えた。
弟がほんとに気持ちのいい家だね、と言ってくれたので、ちょっと自信を取り戻した。
ネコは捨てネコセンターからもらってきたものなので、それほどなついてはないけれど、じっくり撫でてあげたら、ちょっとだけゴロゴロ言ってくれた。
仲良くなれるといいな。
そして、だいじなだいじなネイバー、マテアの手術が明日、うまくいきますように!
7月29日 ひさしぶりに今日の晩ごはん。
インゲンのバタ� ��炒め
プチトマト
豚バラと人参、玉ねぎの炒め物
(ナンプラー味、たっぷりコリアンダー)
キュウリとワカメと紀州梅干のサラダ
押し麦入りごはん
カレーが作りたい気分だったのだが、買い物に出そびれた。
てきとうに作ったわりにおいしかった。
(夫との共同作業だけど)
過去の〈ウルルン〉が一気にアップされていて、きのうと今日はウルルンを3人で見ながら食べた。
見たくなかったのだが、オランダ編……
〈風車野郎〉っていったいなんなんだ!?
「風車野郎、風車野郎」とナレーションが入るたびに、1回も逃さず、「風車野郎ってなんなの!?」と突っ込みを入れずにはいられなかった。
いつもはふつうの視聴者として楽しみに見ているウルルンだが、字幕が9� ��%は勝手な作り話になっている(=言ってることを完全に無視してる)と、見終わった後、脱力してしまった。
要するに、わからないだけで、いつも世界中の勝手な作り話を見せられてるだけなんだって。
まぁ、そんなことブツブツ言ってもしょうがないし、また見てしまうんだけど。
(ウルルン、もうすぐ終わるんですね。)
気を取り直して夫と久々に森にさんぽ。
弟たちを連れていきたかったのだが、雨が降ってしまって残念だった。
また次回のお楽しみ。
7月27日 弟たち、無事、アムステルダムを出発。
さいごまでドタバタでおもしろかった〜。
今朝、2人は9時前からアンネの家に並び、9時前に開けて入れてくれたそうで、スムーズに見学できたそうです。
きのう並ん� �いたら2時間待ちとかだった。
暑いわ、雨は降り出すわで、きのう並んでいたらタイヘンだっただろう。
弟のナイスな判断でした。
だけど、ホテルで別のタイヘンなことがあって。
なんと、航空券を入れたセイフティボックスが開かなくなってしまった!
なかなか直してもらえないようなので、ハラハラしながらホテルに行ったら、初日からずっと感じよく対応してくれていたおにいさんが、「ちょうどいま、ボクが行って直してきました。5人くらいやってみてもダメだったから、ほんとによかった!」
いやはや、アムステルダムは楽しかったし、ホテルもよかったけど、帰れなかった! っていうことになるかと、ドキドキだった。
弟らしいエピソードというか、わたしにもありそうなことだなぁ、という か。
みんなで笑えてよかった。
それから駅前のカフェでゆっくりとランチ。
昨夜、アルゼンチンでがっつり肉料理をごちそうしてくれたので、オランダ名物ブローチェ・クロケットをお礼にごちそうする。
そういえば、きのうのお昼は「オランダでファストフードが食べてみたい」ということで、最近、日本に再上陸したバーガーキングへ。
こちらも新鮮な野菜がたっぷりで炭火焼風のハンバーガーでとてもおいしかった。
ポテトもカリッとしていたし。
いっしょになって、ふだん食べないものをいっぱい食べてしまったけど、楽しかったからいいや。
(今夜からしっかりウォーキングしよう。)
そして、駅に着いて、少しぶらぶらしてからホームに行ったら、もう乗る電車が来てから弟が突然、「や� ��ぱり水1本、買ってくるわ」といなくなる。
わたしが行くって言ったのに……
気がついたら急にパパがいなくなっていて、甥っ子は「方向オンチだから心配だ。ちょっと探してきます」
甥っ子が戻ってこなかったらもっと心配なので、ぜったい大丈夫だよ、といっしょに待つ。
息子が探しにいって、「どこにもいない」と言っているところに、階段を駆け上がってくる弟。
「すごい人が並んでいた」と笑っている。
そして、いよいよ乗る号車へ。
お別れをして彼らが入っていくと、ICEの窓がミラーガラスになっていて、いったいどこにいるのかぜんぜん見えない。
止める息子を置いて、どこに乗っているか確認にいく。
反対側のドア付近にいるのがわかったので、降りてそっちのドアまで走り、「お〜い !」と声をかける。
「この電車、外から中がぜんぜん見えないんだよね」と言うと、甥っ子が外に飛び降りて、見てみようとする。
ほぼ同時に、「降りちゃダメだよ」(弟)、「あぶないよ!」(私)、「ピ〜ッ!」(笛)。
甥っ子があわてて飛び乗ると、シュ〜ッとドアが閉まった。
さいごは電車の中も外も大笑い。
楽しいお別れになった。
パリで電車に乗り遅れていたら……
セイフティボックスが開かなかったら……
甥っ子がホームに取り残されていたら……
何年たっても会うとこの話題で盛り上がりそう。
またいつか、こんなドキドキ楽しい時間をいっしょに過ごせますように。
7月26日 30℃近いアムステルダムの街をかなり歩いた。
アンネの家は2度、見にいったけど、2度� ��すんごい行列であきらめました。
明日の朝イチでリベンジ。
ゆっくり語り合う時間ももてた。
子どもだった者たちが親となり、大人になりつつある子どもたちの将来を考えている……
あたりまえなんだけど、やっぱり不思議。
そうやって親子関係は過去にも未来にもつながっている。
7ヶ月ちがいの息子と甥っ子。
ぜんぜんちがうところもおそろしく似ているところもある。
おたがい一人っ子だから、年の近いいとこどうしでよかった。
世界情勢も環境も個人の力で変えることはできないけれど、人と人のパワーが合わさってよいものを共有できると、その人たちのまわりはよくなっていきそう。
そんな時間がもてたような気がする。
明日のお昼にはもうお別れだと思うと寂しくもあるけれ� �、短くても充実した時間だった。
でも、感傷に浸るのはまだ早い。
ちゃんと電車に乗ってバイバイするまで、「あぁ〜っ!」という失敗がないように、おっちょこちょいの弟を見送るおっちょこちょいの姉は、さいごまで気が抜けないのだ。
7月25日夜 弟と無事、再会。
中央駅まで迎えに51番に乗っていこうとしてトラム停に着いたら、「あぁっ!」
51番、工事中で走ってないことを思い出した。
暑さの中、5番で街をぐるりと回って中央駅に行くことに。
10分くらい遅れる。
(どうか、タリスも遅れていますように)と祈りつつ。
タリス到着のホームを歩いていると、むこうから弟と甥っ子くんが先に見つけて歩いてきた。
あぁ、また迎えに間に合わなかった〜。
いつものんび� ��しすぎて出かけにバタバタになり、迎えに間に合わないわたし。
でも弟には感謝される。
きのう、わたしがタリスのサイトを調べてパリの弟に「出発時間がちがってるみたいだよ」と電話していなかったら、乗り遅れて日本で手配した切符がムダになるところだった。
旅行会社のミスかと思ったら、「ちゃんと読んだらそう書いてあった(笑)」と弟。
「あぁ、わたしもそれ、あるよ。わたしのときにはちゃんと読まずに空港に行ったら、この飛行機は10分前に出発しましたって言われたんだよ(笑)」
聞くところによると、日本の出発からずっと、飛行機や電車に乗るのがギリギリセーフばかりらしい。
「わたしもミュンヘンからトマと2人共、病気で帰ってくるとき、電車に乗るのにすごい走らないとい� �なかったの。途中で切り離される電車だったから」
「ぼくも。自分の車両まで間に合わなかったから、なんとか切り離される前まで走った」
きょうだいで似すぎだ。
甥っ子くんが少し電車で気持ち悪くなってしまったので、あっさりとベトナム料理を食べることにする。
生春巻きをおいしい、おいしいと食べてくれ、揚げ春巻きも焼き飯も元気に食べれた。
夫もベトナム料理店にかけつけて、5人で楽しいときを過ごす。
東京や大阪でないところで不思議な感じ。
明日も楽しい日でありますように。
7月25日 27℃と暑くなってしまった。
弟が14年ぶりにオランダに来るのに。
あのときには存在しなかった息子を連れて。
あのとき、うちの息子はすでにおなかの中で出番を待っていて� ��やっぱりこんなふうに暑かった。
ドキドキの再会。
(先日、東京で会ったところだけど。)
さて、今朝は日本からだいじに持ち帰った「食堂かたつむり」を読み終わったのだが、正直、とてもガッカリした。
草野マサムネさんの推薦文に釣られて買ったのだが……
おいしそうに思える料理があんまりなかったし、言葉が響いてこなかった。
〈料理は祈りだ〉という直接的な言葉ではなく、それを行間にかもしださせることが欲しかった。
(いつか俵万智さんが若手の短歌を評して、そう書いていたのを思い出した。)
スーツケースのスペースは限られていて、文庫でない重たい本は貴重なものなのに。
人にあげるときも「これ、おもしろくなかったけど、話題になってるから読んでみてね」と言う� ��かと思うと、さびしい気持ちになる。
わたしは病気とかでなく頭を剃ってる女の人の食堂ではごはんは食べたくないなぁ。
あと、インド人の恋人のナゾはそのままなんかい!?
相手の持ち物まで持っていなくならないよなぁ。
(っていうか、なんで警察に届けない!?
意味わかんないよ。)
そして、豚のとさつはあんなものじゃないと思う。
はぁ〜っ。
さてと、弟が来るまでにいろいろしなきゃ。
7月23日 マックブック、買いましたよ〜。
すごい物ですね。
昭和時代の人間にはもはやついていけません。
息子はさっそく作品を作っていた。
これで世界がまた広がるだろう。
1200ユーロの物を子どもに買い与えることは、責任のある行動か?
息子に言われてあら� �めて考えたけれど、うちはこれでいいのだと思う。
家で長期の仕事をしていて、ずいぶんと色々、家族に負担もかけているし。
うちにはWiiとかもないし(カーペットが擦り切れてるし、下にメイワクだし)、子どものときからトータルして、ぜったいに贅沢ではなかった。
(日本にはよく行ってたけれど。)
息子はこっちでは早生まれなので、アルバイトができるのもまだ2年先の夏休みだし。
なにより、ほんとうに活用できるものだから。