1977年の公開時、世界的な「ディスコ・ブーム」を巻き起こし、ジョン・トラボルタの名前を一躍世間に知らしめた彼の代名詞的傑作。
映画音楽を担当したビージーズのサウンドトラック盤も大ヒットし、テーマ曲である『Stayn' alive』はいまだにラジオから流れる名曲である。
また、日本では、『フィーバー』という言葉が大流行し、パチンコの777が「フィーバー」と呼ばれるようになったのもこの映画がきっかけだ。
このブームの後、すっかり映画界から忘れ去れたかのようなトラボルタだったが、クエンティン・タランティーノの傑作『パルプ・フィクション』に再び登場し、例の腰振りダンスを披露して、「この人、まだ健在だったんだー」と世界中の人々の記憶を呼び覚ましたのは有名な話。
ちなみに、タランティーノ監督がトラボルタを起用したのは、やはり「サタデーナイト・フィーバー」に感銘を受けたからであり、最近になって再び映画界で活躍するようになったトラボルタの第二の成功を非常に喜んでいるそうだ。
§ あらすじ
ニューヨークのブルックリンに住み、ペンキ屋で働くトニーはもうすぐ20歳になるディスコが大好きな青年。
しかし、将来への夢も持てず、家庭内は夫婦ゲンカや親子ゲンカが絶えなくて、毎日の生活にうんざりしている。
そんな彼にとって唯一の楽しみが、ディスコで踊ることだった。
去年のダンスコンテストで優勝した彼は、今年も優勝を狙って新しいパートナーを探している。
そんな彼の前に現れたのが、クールでスタイリッシュなステファニー。
ダンスのセンスも抜群で、元恋人のアンネットにうんざりしていた彼はたちまちステファニーに夢中になる。
しかしステファニーの態度はクールで、ペアを組んでも、それはあくまで「ダンスのため」と割り切っている。
だが、向上心あふれるステファニーとの触れ合いを通じて、トニーは自分の人生について真面目に考えるようになる。
やがてコンテストの夜を迎え、二人は素晴らしいペアダンスを披露するが、その結果は決してトニーの納得行くものではなかった。
聖職者だった兄の辞職、暴力事件、仲間の自殺など、やりきれない事が続く中、トニーは一つだけ確かなものを手に入れる。
それは、ステファニーとの「友情」だった……。
§ レビュー
この映画の良いところは、新しいパートナーであるステファニーとの関係を、決してベタベタした恋物語にしなかったことだ。
この二人に、「愛してるわ」「オレもだよ」というセリフを言わせてしまえば、ただのハーレクイン・ロマンスに転落してしまう。
そうではなく、あくまで「友情」として描き、それも小さな芽が芽生えたところで話を終わらせているところに、観客は深い感動を覚えるのではないだろうか。
この感動的なエンディングで流れるビージーズの「How deep is your love」では、「愛」という言葉で表現しているけれど、歌詞をよく読んでもらえば、ステファニーがトニーにとって、どれほど新しく、希望にあふれた存在であるかが伺える。
「恋」よりももっと確かで信頼に満ちたものがあるからこそ、二人のペアダンスも際だつのではないだろうか。
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